武部新農相が、2024年の衆院選でカメラマンに約86万円を支払っていたと報じられました。本人の説明と、陣営関係者の証言が食い違っています。この記事では、どこが食い違うのかと、その背景を整理します(最終更新:2026年10月27日)。いずれも疑惑の段階で、違法と確定したわけではありません。
本人は「企画立案」、陣営関係者は「ネット戦略の中心人物」と証言
食い違いの中心は、このカメラマンが選挙運動をしていたかどうかです。
武部氏は86万円について、「企画立案であり、選挙活動ではない」と述べたと報じられています(NHK 2026年10月27日時点)。
一方、「週刊文春」の取材に、武部陣営の選対委員を務めたという男性が次のように証言しています。
- カメラマンは、ネット戦略要員の一人として陣営が頼んだ
- 街頭演説の場所で映像を撮り、すぐネットに出していた
- 武部氏は当時ネットを駆使しており、このカメラマンはその中心人物だった
武部氏は「選挙活動ではない」と言い、証言者は「ネット発信の中心だった」と言っています。両者の説明は、正反対です。
報告書には「無償」と書かれ、振込依頼書だけが添付されていた
問題の発端は、報告書の記載と、添付書類の内容が合わないことです。
文春が疑っているのは、プロカメラマンのX氏(匿名)です。X氏は、公示日から投票日前日までの12日間、「無償車上運動員」を務めたとされています。
武部氏の選挙運動費用収支報告書には、X氏への支払いは1円もありません。ところが、添付された北見信用金庫の「振込依頼書」には、次の内容が記されていたといいます。
- 名目:選挙運動記録用の写真・動画撮影代
- 金額:86万8738円
- 日付:11月13日付
事務所は、この支出を報告書に書かなかった理由について、文春の取材に答えていません。
事務所は「撮影の委託」と説明、ネット戦略は「担当していない」
事務所の回答は、陣営関係者の証言と食い違っています。
文春が紹介した事務所の回答は、次のとおりです。
- 事務所の指示で、写真・動画の撮影を委託した
- 念のため、車上運動員として登録した
- 実際はX氏の自家用車で撮影し、選挙運動は一切していない
- ネット戦略を担当してもらった事実もない
特に最後の点は、陣営関係者の「ネット戦略の中心人物だった」という証言と、真正面からぶつかります。なお、「企画立案」と「撮影の委託」は、報道によって言葉が異なります。
専門家「実態が選挙運動への対価なら、買収が疑われる」
カメラマンが選挙運動員にあたるかどうかが、買収疑惑の分かれ目です。
日本大学の安野修右准教授は、文春の取材に次の趣旨で述べています。
- 撮影に加えて、ネット発信を率いる立場なら、自分の判断で動く選挙運動員といえる
- 報告書で「無償車上運動員」とされ、陣営が運動員と認めている点も重い
- 支払いの実態が選挙運動への対価なら、運動員買収が疑われる
選挙運動は、本来ボランティアで行うものです。一部の例外を除き、運動員にお金を払うことはできません。
兵庫県の斎藤知事のケースと同じ構図と指摘されている
文春は、2024年の兵庫県知事選でPR会社に報酬を支払った問題と、構図が似ていると指摘しています。
斎藤元彦知事は、知事選でSNS運用などをPR会社の社長に依頼し、70万円超を支払っていました。この件でも、運動員買収の疑いが指摘された経緯があります。
武部氏の件も、支払いが「選挙運動への報酬」か「それ以外の業務の対価」かが問われています。
就任直後から、武部新農相をめぐる疑惑が続いている
カメラマンの件は、就任後に報じられた疑惑の一つです。武部氏は、更迭された簗和生前農水相の後任として起用されました。
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- 企業献金30万円(文春報道):国の公共事業を受注する企業から寄付を受けていた件です。武部氏は10月21日、「寄付をいただいた当時、承知しておりませんでした」と陳謝しました。
- ビールパーティーの抽選会(週刊新潮報道):後援会のパーティーで、家電などが当たる抽選会を開いていたとされる件です。
いずれも週刊誌が報じた疑惑で、違法と確定したものはありません。
86万円の中身を、武部氏が具体的に説明するかに関心が集まっています
武部氏が、会見や国会で、「企画立案」の具体的な中身と、報告書に載せなかった理由をどこまで説明するかが注目されています。続報が出しだい、この記事に追記します。


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