3.クラシックBMWと宝塚脳で楽しむミュンヘン街歩き|車好き必見の11選

「クラシックBMWは、ただの移動手段ではない」

これは、初めてミュンヘンを訪れたときに感じたことです。

あの角を曲がったとき、ふと視界に飛び込んできた80年代のBMW320i(E30)
控えめなアイボリーホワイトのボディが、石畳の道と赤レンガの背景に静かに溶け込んでいました。
その瞬間、「ああ、この街はBMWの“ふるさと”なんだ」と実感したのです。

本記事では、そんなクラシックBMWが特に映える景色を、実際に歩いて見つけたスポットと共に10か所ご紹介します。

BMWファンの方はもちろん、まだドイツ車に興味のない方にも、ミュンヘンという街の奥深い魅力が伝われば嬉しいです。

ノイハウザー通り|エンジン音が街並みに溶け込む歩行者天国

ミュンヘン旧市街の中心を貫くノイハウザー通りは、週末になると地元のBMWオーナーが愛車を披露しに集まる場所として知られています。

歩行者天国でありながら、クラシックカーと街の鼓動が自然に調和する稀有な通りです。

 

淡いブルーのE28と通りの鼓動

私が歩いていた午後、遠くから聞こえてきた軽やかな排気音に思わず足を止めました。

振り返ると、淡いブルーのBMW E28が石畳の上を静かに滑るように通過していきます。

その瞬間、街の雑踏とエンジン音が不思議な調和を奏でていることに気づきました。

観光客が賑わう中、BMWのクラシックな佇まいは一際目を引きつつも風景に溶け込んでいて、まるで“都市という舞台における演者”のようでした。

 

地元オーナーとの交流エピソード

通りの一角で立ち止まっていたところ、クラシックE30の持ち主に声をかけられました。

「30年乗ってるよ。毎週ここで会ってる仲間もいてね」と、地元のメンテナンス事情からパーツ交換の苦労話まで話が弾みました。

マリエン広場にほど近い立地でありながら、歴史と機械美が対話する交差点としてのノイハウザー通り。

歩くだけで、BMW文化が街の一部として自然に息づいていることを体感できます。

アクセス:地下鉄U3/U6「マリエン広場」駅から徒歩5分

 

カールス門前|歴史とBMWのタイムスリップ

旧市街の入り口に佇むカールス門(Karlstor)は、中世から現代までの建築文化が融合するミュンヘンの象徴。ここで出会った深緑のBMW2002は、ただのクラシックカーではありませんでした。建築と車、それぞれの静かな力が交差したとき、過去と現在の境界線があいまいになる瞬間が訪れます。

 

早朝の静けさに映えるクラシックカー

朝8時、まだ観光客がほとんど歩いていない時間。澄んだ空気の中、カールス門のアーチをくぐるBMW2002の姿は、まさに“時を超える映像”でした。

ボディラインが門の彫刻に映り込み、ほんのり差す朝の光が曲線美を際立たせます。街の音が少ない時間だからこそ、エンジン音が一層ドラマチックに響き渡り、1台の車が街の主役に見えた瞬間でした。

 

レースの記憶を語る地元住民との出会い

撮影中、通りすがりのご年配の男性が「これ、私が若い頃乗ってたのと同じモデルだよ」と声をかけてくれました。元レーサーであり、ミュンヘンの公道レース文化があった時代を語ってくれた彼。

「この門の前で、1960年代に何台ものBMWが通過していった。今の静けさが嘘みたいだね」と語る姿に、車が持つ記憶の深さを改めて感じさせられました。

アクセス:地下鉄U4/U5「カールスプラッツ」駅直結

 

BMWヴェルト|メーカー発信の“生きた博物館”

ミュンヘンにあるBMWヴェルト(BMW Welt)は、単なる自動車展示施設ではありません。

ここは、車・建築・技術・人が交差する“生きた美術館”のような空間であり、BMWの世界観を五感で体感できるスポットです。

E9の曲線美に息を呑む展示体験

館内に入ってすぐ目を奪われたのが、1970年代の名車 BMW E9(3.0CS)でした。

ボディ全体に光が滑るように入り込む設計は、単なる金属造形ではなく“工業芸術”そのもの。

特にリアのラインは、まるで建築物のアーチのように空間と響き合っていて、周囲の静けさが作品の一部になっているような錯覚に。

展示はただ“見せる”のではなく、車が周囲の空間に溶け込み、訪れる人が“見られている”ような視線を感じるのが印象的でした。

クラシックBMWパレードとの偶然の出会い

滞在中、偶然出会えたクラシックカーのパレードは、まさにBMW文化の“鼓動”でした。 館外の広場ではE30、E21、2002など名車が走行し、それぞれのエンジン音が街に響く様子は圧巻。地元オーナーや車好き観光客が自然に言葉を交わし、交流が生まれていました。

スタッフの方によると、週末や記念日にこうしたクラシック車イベントが行われることも多く、「設計の時代ごとの進化を“動き”で見せたい」という想いが込められているそうです。

 

アクセス情報と撮影ポイント

所 在 地 Am Olympiapark 1, 80809 München
アクセス 地下鉄U3「Olympiapark」駅下車 徒歩約5分
営業時間 毎日 9:00〜18:00(年末年始を除く)
入 場 料 無料(一部有料エリアあり)
言語対応 英語・ドイツ語対応スタッフ常駐/日本語パンフレットあり
施設内サービス
英語・ドイツ語対応スタッフ常駐
日本語パンフレットあり
撮影ポイント 階吹き抜けの展示フロア・エントランスの斜張梁建築

広場の走行イベントエリア

 

エングリッシャーガルテン南口|自然とBMWの調和を味わう休日

ミュンヘン随一の自然公園「エングリッシャーガルテン(Englischer Garten)」は、車と風景が違和感なく溶け合う稀有な場所。特に南口付近では、BMW愛好家の憩いの場として知られており、クラシックモデルが芝生や小径にさりげなく佇む姿に出会えることもあります。

BMWと自然が交差する“静かな休日空間”

晴れた午後、南口のベンチに腰掛けていた筆者が目にしたのは、芝の奥に停まる一台のクラシックBMW。

グラナダレッドのE30カブリオレが、公園の緑の中で静かに光をまとっていました。

それは「展示されている車」ではなく、明らかに「生活の一部」として存在していたのです。

通行人がチラリと眺めていく程度で、周囲には過度な視線や撮影もない。BMWが日常の風景に自然に馴染んでいたのが印象的でした。

建築家とE30スケッチ|図面と車が生む創造の時間

この車の持ち主は、地元に住む建築家の男性。芝の近くでスケッチブックを広げていた彼に声をかけたところ、次のように話してくれました。

「このE30はもう25年乗ってる。休日はここに来て、車の横で図面を描くのが習慣なんです。静かで創造的な時間になるんですよ。」

筆者が見た図面には、公園の東屋とベンチをモチーフにした立体構造が描かれており、E30の曲線美を参考にしたと笑って教えてくれました。車と建築が感覚的につながっていることが、彼の創作スタイルに深く影響しているのだと実感しました。

ゆったりと過ごすBMWとの午後のすすめ

このエリアでは、愛車を公園の外周に停めて、芝生で本を読む人、犬と遊ぶ人、友人と語らう人が自然とBMWの存在を共有しています。

筆者もその空気に惹かれて、E30の隣に座って風を感じながら旅日記を少しずつ書き進めました。車が“動く物”であることを忘れるようなひととき。エンジンをかけずとも、BMWが時間を穏やかに彩る存在だということを体感できます。

 

アクセス情報とおすすめの訪問時間帯

エリア名 エングリッシャーガルテン南口付近
最寄駅 地下鉄U6「リーデルプラッツ(Riederplatz)」駅
徒歩約7〜10分(公園入口まで)
ベストタイム 午後14時〜17時(光と緑が柔らかく、車も並びやすい時間帯)
設備 ベンチ、芝生エリア、カフェ(徒歩圏内)

 

レオポルト通り|街のカフェ文化とBMWとの美的共演

ロイヤルブルーのE21と女性オーナーの“30年物語” 街と愛車が溶け合う感覚を体験

ミュンヘンの北側に位置するレオポルト通り(Leopoldstraße)は、地元市民と観光客が交差する洒落た目抜き通り。 石畳と並木道が続き、テラス席のカフェが立ち並ぶこの通りには、クラシックBMWが思い思いの佇まいで停まっていることがあります。特に週末の午前は、街並みに愛車が映える瞬間に出会える絶好の時間。

今回は、筆者がこの通りで出会った女性オーナーとBMW E21のエピソードを通して、「車と街と暮らしが一体化する美的共演の感覚」を綴ります。

ロイヤルブルーのE21|通りに映える一台の存在感

レオポルト通りの定番カフェ「Café Münchner Freiheit」前。筆者がカプチーノを注文して席についたちょうどそのとき、ゆっくりと入ってきたのがロイヤルブルーのBMW E21。 陽の光がボディに穏やかに差し込んでいて、通りの樹々の影がフロントガラスに揺れながら映っていました。

「完璧な舞台構図だ」と思った瞬間、目の前の席に品のある白髪の女性が現れました。彼女がそのE21のオーナーだったのです。

“この子とは30年一緒”と語る女性オーナーの物語

話しかけてみると、彼女は快く微笑みながらこう答えてくれました。

「この子(E21)とは、もう30年以上連れ添っているの。最初は仕事用に買ったけれど、今では思い出のアルバムみたいな存在。出先で見える風景も、この子を通して違って見えるのよ。」

年に数回しか乗らないけれど、この通りだけは“特等席”だと話す彼女。テラス席でコーヒーを飲みながら、停めたE21を静かに見つめる時間が、日常の中の“演出された美”なのだと言っていました。

街と愛車が溶け合う、ささやかな演出空間

このエピソードを通して筆者が感じたのは、「車は風景の異物ではなく、都市文化のパートナー」だということ。 レオポルト通りでは、BMWが派手に主張するのではなく、カフェ、歩道、植栽、そして持ち主のライフスタイルと音もなく融合しているのです。

写真に収めた一枚は、まるで宝塚の舞台ビジュアルのようにドラマティック。偶然の配置と光と色彩が、愛車と街との対話を可視化してくれました。

 

アクセス情報とおすすめの訪問時間帯

アクセス Leopoldstraße, 80802 München
最寄駅 地下鉄U3/U6「Giselastraße」駅 徒歩3分
周辺施設  カフェ多数(Café Münchner Freiheit、Schumann’s Bar など)
訪問おすすめ時間 午前10時〜12時(街の光と車の配置が美しい時間帯)

レジデンツ前広場|王宮とビンテージBMWの静謐な一枚

シルバーグレーのE12と石畳の演出効果

荘厳なミュンヘン王宮の正面広場。

ここにクラシックBMW E12が現れたとき、街全体が静止したような感覚を覚えました。

石畳の質感とシルバーグレーの車体の輝きが呼応し、まるで意図的に配置されたセットのような完成された構図です。

 

カメラマンも集う撮影人気スポット

筆者が訪れたのは午前9時過ぎ。観光客がまだ少ない時間帯で、光が柔らかく建物の装飾を浮かび上がらせていました。 王宮の影が車体に落ちる瞬間、まるでレビューの一場面が静かに始まるようでした。

周囲には三脚を立てた地元カメラマンが数人。彼らの話によると、ここは「背景の格が揃っているから、E12のような直線的な車と相性が抜群」なのだとか。実際、筆者もスマホで構図を探ってみると、どの角度から撮っても“クラシックポスターの一枚”に仕上がるような完成度でした。

この広場では、BMWがただの交通手段ではなく、「都市の記憶を引き継ぐ静かな演者」として存在しているのだと、強く感じました。

アクセス情報とおすすめの訪問時間帯

所 在 地 Residenzstraße 1, 80333 München, Germany
ミュンヘン王宮(Residenz München)正面、マリエン広場の北側
アクセス 地下鉄(Uバーン) U3 / U6
「Marienplatz(マリエン広場)」駅から徒歩約3分
おすすめ時間帯
・午前9時〜10時
観光客が少なく、柔らかな自然光で撮影に最適
・夕方前(16時頃)
王宮の陰影が車体に映える時間帯

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